CBS | CBS 81769 | ITA | 1976 | M: VG+ / VG+ | JK: VG
A1: Friedrich Gulda / Solo 1 5:39
A2: Ursula Anders / Solo 2 7:04
A3: Friedrich Gulda / Ursula Anders / Duo 1 8:43
B1: Friedrich Gulda / Solo 3 6:00
B2: Friedrich Gulda / Ursula Anders / Duo 2 10:22
B3: Friedrich Gulda / Ursula Anders / Duo 3 5:18
オーストリア出身ピアニスト/コンポーザー Friedrich Gulda が76年に発表した作品。クラシックの名ピアニストとして知られる Friedrich Gulda が、ジャズ、即興、電子音、声、現代音楽的な構成をまとめて自分の場所へ引き寄せた、かなり異色の作品です。Ursula Anders、Barre Phillips、John Surman、Cecil Taylor、Stu Martin、Albert Mangelsdorff らが関わっていることからも、単なる越境企画ではなく当時の先鋭的な音楽家たちを本気で巻き込んだ録音だったことが分かります。
Friedrich Gulda の面白さは、クラシックの側からジャズを眺めているのではなく、どちらの制度にも収まりたくないという態度が音に出ているところ。ピアノは端正に鳴る瞬間もありますが、すぐにその形を崩し、声や管楽器、ベース、打楽器と同じ地平で揺れ動きます。美しい主題を整えて聴かせるより、音が生まれ、ぶつかり、別の状態へ変わっていく過程そのものが作品の中心にあります。
特に強く感じるのは、Friedrich Gulda が「現在」という言葉を流行や時代性としてではなく、自分がその瞬間に反応している音楽として扱っていることです。フリージャズの荒さ、現代音楽の緊張、演劇的な声、ヨーロッパの即興の冷たさが入り混じりますが、混ぜ物の面白さだけでは終わっていなくて。クラシックの訓練を徹底的に受けた人が、その完成された技術を一度ほどき、危うい場所へ持ち込んでいる感じがします。
聴きやすい作品ではありません。ただ、Friedrich Gulda という音楽家を、ベートーヴェンやモーツァルトの名演だけで捉えると見落としてしまう部分が、ここにははっきり出ています。品格と破壊、知性と遊び、作曲と即興が同じ場所で鳴っている、70年代欧州の自由な音楽が持っていた危うさを、Friedrich Gulda が自分の身体で引き受けたような1枚です。イタリア盤。
Sleeve: スレ/クスミ/縁に色剥げ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
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