Colette Magny / Feu Et Rythme (LP)

Le Chant Du Monde | LDX 74444 | FRA | 1971 | M: VG+ / VG+ | JK: VG | トライフォールドスリーヴ


A1: Feu Et Rythme
A2: K³ Blues
A3: Brave Nègre
A4: U.S.A. Doudou


A5: Jabberwocky
A6: Soupe De Poissons
A7: Malachites
B1: Prend Moi, Ne Prend Pas


B2: A L'écoute


B3: La Marche
B4: L'église De Taban
B5: Conascor


仏シンガーソングライター Colette Magny が、71年に仏レーベル Le Chant du Monde から発表した1枚。30代で録音活動を始めた遅咲きの人ですが、初期からブルース、シャンソン、政治的な歌、前衛音楽を横断し、60年代末にはフランスのプロテストソングを代表する存在になっていました。本作はその流れの中でもかなり特異な1枚で、彼女の経歴を見ても“歌手が少し実験に寄った作品”みたいな薄いものではなく、表現の重心そのものが大きく傾いた時期の中心作です。

シャンソンの延長として聴こうとすると、かなり早い段階で足場がずれます。Beb Guérin や Barre Phillips といったフリージャズ系のベーシストの存在が強調されていますが、たしかに聴感としても“歌”と“演奏”の主従がかなり揺らいではいます。声は何かを美しく歌い上げるというより、ことばを押し出し、ときに叫び、リズムそのものへ身を投げるように扱われていて、その周囲で低音や即興が火の粉のように散るという、タイトル通り「熱と拍動」が先にあり、ジャンル名はあとから追いかけてくる感じの独特すぎる作風です。

さらに重要なのは、この過激さが単なる前衛志向では終わっていないこと。政治的な表現者として語られることが多く、実際にその側面は大きいのですが、この作品ではメッセージを“伝える”より、声そのものを社会的な摩擦としている印象があるため、フリージャズやアフロ志向の熱量を取り込みながらも、ジャズヴォーカル作品とも左翼的シャンソン作品とも少し違う場所に立っています。言ってしまえば、これは音楽的越境の作品である以上に、ひとつの声が既存の形式を壊しながら前へ出ていく記録です。

フレンチアヴァン、フリージャズ周辺、政治的シャンソンのどこから入っても引っかかる盤ですが、そのどれにもきれいには収まりません。Colette Magny の作品群の中でも、本作は思想、身体、即興、リズムがもっとも剥き出しの形で結びついた1枚だと思います。代表作というより、彼女が“ただのシンガーではない”ことをいちばん強く証明している作品です。フランス盤。


Sleeve: スレ/クスミ/背表紙にダメージ
Media: 薄くスレ/薄くヘアライン箇所あり/静音部に薄くチリノイズ
Include: ---
型番 SMS-08607
販売価格
3,800円(税込)
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