EMI | E 062-35290 | SWE | 1976 | M: VG+ / VG+ | JK: VG
A1: The Neck And The Virgin 10:00
A2: In The Land Long Ago 3:32
A3: Cosmic Love 6:42
A4: Midnight Hour 4:41
B1: Shangri-La 7:45
B2: Enchanted Forest 4:20
B3: Ode To A Lost Soul 7:00
B4: Amen 4:05
スウェーデンの作曲家/電子音楽家 Ralph Lundsten が76年に EMI / Harvest から発表した作品。Ralph Lundsten は北欧の自然、神秘主義、未来感覚をテーマに、多数の電子音楽作品を残した人物で、スカンジナビア電子音楽の先駆者のひとりとして知られています。本作は単独アルバムというより、彼の初期から中期にかけての音楽性を広く紹介するためのコンピレーションとして見るのがしっくるかもしれません。
この盤の魅力は、電子音楽でありながら冷たい音響実験だけに終わらないところ。シンセサイザーの揺らぎ、テープ処理、効果音、フィールド録音のような気配が重なり、宇宙的な広がりと北欧の自然感覚が同じ場所で鳴っている感触。70年代のコズミックな電子音楽らしい浮遊感はありますが、ドイツのクラウトロックやベルリン派の長尺シーケンスとは少し違い、もっと童話的で、少し奇妙で、時に愛嬌すらある音の作りです。
タイトルにある“Cosmic Love”という言葉も、この作品の雰囲気をよく表しています。宇宙という大きなテーマを扱いながら、音はどこか個人的で、手作りの幻想に近い感じ。壮大な未来音楽というより、ひとりの作曲家が自分の小さなスタジオから、星や森や夢の景色へ回線をつないでいるような感触があります。抽象的な電子音の中に、メロディの断片や自然音のような響きがふっと現れる瞬間があり、そこに Ralph Lundsten ならではのロマンティシズムが見て取れます。
ニューエイジ以前の電子音楽としても、アンビエント以前夜明け前の音としても聴ける内容ですが、きれいに整った癒しの音楽とは違います。もっと不思議で、少しチープで、でも妙に耳に残る。70年代北欧電子音楽の中でも、アカデミックな実験性と夢見るようなポップ感覚が自然に混ざった1枚です。電子音の硬さよりも、その奥にある想像力の温度が伝わってくる作品だと思います。
Sleeve: スレ/クスミ/側面に色剥げ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
Include: オリジナルインナースリーヴ(シールあり)