Luis Cilia / Memoria (LP)

Zafiro | ZL-225 | SPA | 1977 | M: VG+ / VG+ | JK: VG | ゲートフォールドスリーヴ


A1: Na Capela Ogival Das Tuas Maos 4:27


A2: Ate Quando 1:40
A3: Assim Cantamos 4:21
A4: O Mar Nao Precisa De Ter Ondas 1:42
A5: Memoria 7:24


B1: Redondilha 2:50
B2: Nao Podemos Calar 2:54
B3: Se 0:50
B4: Cançao Do Campones Operario 2:25
B5: A Festa Nunca Acaba 3:18
B6: Novembro 5:53


B7: Na Capela Ogival Das Tuas Maos 1:07


Luís Cília が76年にポルトガルの Diapasão から発表した『Memória』。こちらは77年リリースのスペイン盤。Luis Cília は1943年アンゴラ生まれ、59年にポルトガルへ渡り、64年にはフランスへ移って活動するシンガー/作曲家。亡命期から反体制歌、詩の音楽化、ポルトガル語圏の政治と深く関わってきた人物で、本作は74年のカーネーション革命後、ポルトガルでの活動が再び開かれていく時期の1枚です。

本作の軸にあるのは、声と言葉の重み。ただし、いかにも政治的なメッセージを前面に押し出すだけの硬い作品ではありません。アコースティックギターを中心に、室内楽的な弦、素朴なリズム、控えめなコーラスが添えられ、フォークとしての親しみやすさと詩を読むような静けさが同居しています。ポルトガルのカンタウトゥーレ的な質感を持ちながら、フランス亡命期を経た人らしい距離感もあり、熱を帯びても叫びすぎない。そこにこの盤の品の良さがあります。音楽的には、ファドの情緒に寄りすぎず、南欧フォーク、プロテストソング、詩的歌曲の間を淡く行き来する内容。旋律は平明ですが、背景にある時代を考えると、ひとつひとつのフレーズが軽く流れません。革命直後の高揚だけでなく、そこに至るまでの沈黙、亡命、植民地戦争、記憶の回復といったものが、穏やかなアレンジの奥に残っています。

ですが、A5「Memoria」だけはちょっと異質。他のアルバムでもそうなんですが、決して本線の音楽性とは合わないような、シンセなどを用いたコラージュ的なアンビエント曲がアルバムごとに入っているのも、Luis Cillaの特徴でもあります。とはいえ他の楽曲と世界観が合わなそうでよく聴くと同じなのも、アーティストとしての確固たる意志を感じます。

70年代ポルトガル音楽の中でも、歴史と個人の声が自然に結びついた作品として魅力があります。フォークとしては端正で、歌ものとしては深く、政治的な背景を持ちながらも音楽として静かに届く1枚。声の近さと時代の遠さが同時に感じられる、滋味あるポルトガルSSW作品です。スペイン盤。


Sleeve: スレ/クスミ/小さく角打ち/薄くシワ
Media: スレ/薄くヘアライン箇所あり/静音部に薄くチリパチ
Include: オリジナルインナースリーヴ
型番 SMS-08727
販売価格
6,800円(税込)
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