T.E.N.T | C28A0446 | JPN | 1985 | M: VG+ / VG+ | JK: VG
A1: 遙かなる想い 2:29
A2: 冬のシルエット 4:17
A3: Providence (素晴らしき幻想) 4:21
A4: 仕事を終えたぼくたちは 3:40
A5: One More Chance 4:10
B1: Sailor 4:23
B2: I Saw The Light 3:48
B3: 昆虫記 4:34
B4: 泣きたい気持ち 4:14
B5: 今日の空 3:46
YMOやサディスティック・ミカ・バンドで知られる 高橋幸宏 が、85年に Canyon から発表したソロ作。80年代のソロ活動の中でも中盤にあたる作品です。YMO のドラマー/ヴォーカリストとして広く知られていますが、この時期のソロ作ではバンド的な緊張感よりも、歌そのもののニュアンスや物語性に重心を移していたことが、聴けばよくわかります。
いわゆるテクノポップ以後の洗練をまといながら、その中心にあるのがかなり人間くさい情感なんです。音づくり自体は85年らしくシンセや打ち込み、整ったアレンジが前に出ていますが、作品全体の印象はむしろ都会的なクールさだけでは済まないんです。高橋幸宏 のヴォーカルはもともと熱唱型ではないのに、ここではその淡さが逆に効いていて、言い切らないまま残る感情や少し頼りないまま前へ進もうとする人物像が、楽曲全体にじわっと滲んでいます。ポップスとして耳あたりはいいのに、聴き終えると妙に余韻が残るのはそのためだと思います。タイトルや曲名から受ける印象どおり、明るく整理された80年代の音の中に、後ろ向きさやためらいまできちんと入っている。その按配がとても巧いです。
高橋幸宏 のソロ作には、もっとシャープなものも、もっと実験性の強いものもありますが、この盤はそのどちらかへ振り切る代わりに、洗練と哀感のちょうど中間に立っています。80年代日本の上質なポップ・アルバムとして聴いてもいいし、YMO 以後の 高橋幸宏 が何を自分の歌として残そうとしていたかを見る1枚としても面白い。大げさに感情を煽らず、それでもしっかり切なさが残る。そういう意味で、この人らしさがとてもよく出た作品だと思います。日本盤。
Sleeve: シュリンク/薄くスレ/クスミ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
Include: ステッカー帯/ライナー