Paddle Wheel | K25P-6017 | JPN | 1980 | M: VG+ / VG+ | JK: VG
A: Duet For Two 18:05
B1: Metamorphosis 8:37
B2: Shadows 7:52
LAのUGMAA周辺で活動を始め、のちにニューヨークのロフトシーンとも接続していくアルト奏者 Arthur Blythe によるライヴ盤。オリジナルは India Navigation から79年に発表、日本盤は80年リリースです。録音自体は77年、ニューヨークの The Brook で行われたもので、Abdul Wadud、Bob Stewart、Steve Reid、Muhamad Abdullah、そしてB面2曲には Ahmed Abdullah も加わる編成。全3曲という潔い構成ながら、初期の重要作としてよく挙げられる1枚です。
この盤の肝は、フリージャズとしての解放感と作品としての輪郭の強さがきちんと両立しているところにあります。A面の “Duet For Two” は Arthur Blythe と Abdul Wadud のほぼ二者対話で進みますが、単なる即興の応酬では終わりません。Abdul Wadud のピチカートやダブルストップが低音と和声の役割を一手に引き受け、そこへ Arthur Blythe の太く振幅の大きい音色がまっすぐ差し込まれることで、編成以上に豊かな空間が立ち上がります。B面ではチューバとドラム、パーカッション、トランペットが加わり、音像は一気に厚くなるもののやっていることはむしろ散漫にならず、重心の低いアンサンブルの中で主題と崩しがはっきり設計されています。自由に吹いているようでいて、どこを聴いても“形”があるのがこの作品の強さです。
Arthur Blythe はのちに Columbia 期の作品群でより広く知られていきますが、この盤ではそれ以前の、もっと剥き出しで、それでいて異様に整理された美意識がよく出ています。ロフトジャズの熱気、AACM以後の構築感覚、そして黒い歌心。フリーの熱量だけで押す作品でも難解さへ逃げる作品でもない、70年代後半の前衛ジャズが持っていた、開かれた実験性と強い作家性の両方を非常に高い密度で刻んだ1枚です。日本盤。
Sleeve: 薄くスレ/クスミ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
Include: 帯(薄くスレ)/日本語ライナー