Evan Parker, Barry Guy, Paul Lytton / Tracks (LP)

Incus | INCUS 42 | UK | 1983 | M: VG+ / VG+ | JK: VG


A1: Fire 4:57


A2: Heat 12:22


A3: Light 5:19
B: Sidetrack 19:04




英フリー代表 Evan Parker、ECM からもリリースする Barry Guy、打楽器奏者 Paul Lytton による83年にフリー名門 Incus から発表されたトリオ作です。とはいえ単なるサックストリオではなく、即興演奏の枠を広げたエレクトリックな質感まで含めて聴くべき1枚です。

インプロの緊張感がありながら、ただ激しくぶつかり合うだけでは終わらないところが他のジャンルを聴く人たちにも大いにアピールするところ。Evan Parker のソプラノはいつものように細かい運動を連続させながら前へ進み、同じくして Barry Guy のベースが旋律と打撃のあいだを行き来し、Paul Lytton の打楽器も音場の圧力そのものを変えていきます。しかもエレクトリックな変調が入ることで音の輪郭がときどき楽器そのものから離れて、空間の奥に別の層が生まれるような変な感覚に襲われます。そのため演奏は抽象的なのに平面的ではなく、とても立体的。誰かが出したモチーフをほぼ瞬時に別の誰かが拾い、ねじって別の形へ変えていく関係性がとてもスリリングです。また、この作品は Evan Parker の即興作品の中でも流れの作り方が音楽的。タイトルだけ見ると断片的な印象もありますが短い断章集というより、一音の密度や音場の温度を少しずつ変えながら進むひとつの長い「思考」のように聴こえます。Incus 周辺の作品群の中でも音響的な探究と演奏の生々しさがきれいに同居している盤で、即興音楽にありがちな記録物な感じより、ひとつの完成したアルバムとしての輪郭がちゃんとあります。

英国フリーインプロヴィゼーションの重要盤のひとつとして十分に見ることもできますが、歴史的価値だけで見るタイプの作品ではないような気がします。3人の関係の深さがよく出た盤ですし、即興音楽が「自由」だけではなく、かなり精密な共同作業でもあることを静かに証明している1枚だと思います。UK盤。


Sleeve: スレ/クスミ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
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型番 SMS-08627
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