Chet Baker / Chet Baker Sings (LP)

Pacific Jazz | GXF-3131(M) | JPN | 1979 | M: VG+ / VG+ | JK: VG


A1: That Old Feeling 3:02


A2: It's Always You 3:33
A3: Like Someone In Love 2:24
A4: My Ideal 4:20


A5: I've Never Been In Love Before 4:26
A6: My Buddy 3:19
B1: But Not For Me 3:02
B2: Time After Time 2:45
B3: I Get Along Without You Very Well 2:58
B4: My Funny Valentine 2:18
B5: There Will Never Be Another You 2:59
B6: The Thrill Is Gone 2:50
B7: I Fall In Love Too Easily 3:19


B8: Look For The Silver Lining 2:40


Chet Baker が54年に Pacific Jazz から発表した超名盤。トランペッターとして人気を集めていた彼が、シンガーとしてのイメージまで決定づけた最初期の代表作です。Chet Baker といえばウエストコーストジャズの象徴的存在として語られますが、この作品で前に出ているのは、名手としての派手さよりも、むしろ声と演奏の危ういほどの細さです。収録は Russ Freeman、Jimmy Bond、Joe Mondragon、Shelly Manne らが支える小編成で、スタンダードを中心にした内容。ジャズ・ヴォーカルの名盤として知られていますが、いわゆる豪華な歌唱を楽しむタイプの作品とはかなり性格が違います。

うまさや声量ではなく、ほとんど素のまま差し出されるような親密さがこの作品の特異なところ。Chet Baker の歌はテクニックで押すものではなく、むしろ少し頼りないくらいの線の細さ、抑揚の少なさ、ささやくような距離感が魅力になっています。そのため、ジャズヴォーカルでありながらショー的な華やかさはほとんどなく、夜の部屋でひとりごとの延長がそのまま歌になったような空気があるんです。トランペットも同じで、朗々と吹き上げるというより、歌の延長としてそっと置かれている感じ。声と管のどちらにも共通する、この“押さなさ”が作品全体を独特なものにしています。

だからこそ、ウエストコーストジャズの洒落た名盤としてだけ聴くと少し物足りない。むしろジャズという形式の中で、感情をどこまで小さな声で伝えられるかを示した1枚として特別です。後年の痛々しい神話や退廃的なイメージを抜きにしても、この時点での Chet Baker の表現にはすでに危うさと甘さがあります。ジャズヴォーカルの代表作であると同時に、“弱さそのものが魅力になる”ことを証明した稀有な作品だと思います。日本盤、79年リイシューです。


Sleeve: スレ/クスミ/経年茶シミ
Media: 薄くスレ/静音部に薄くチリノイズ
Include: 帯(スレ/ヤケ)/ライナー
型番 SMS-08610
販売価格
4,600円(税込)
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