高橋祐次郎 Yujiro Takahashi and His Group / 津軽三味線の世界 Shamisen of Tsugaru (LP)

Victor | CD4K-7009 | JPN | 1973 | M: VG+ / VG+ | JK: VG | Quadraphonic盤


A1: 津軽の響き〜津軽じょんがら節による変奏曲〜


A2: 津軽甚句 (ドダレバチ)
B1: 津軽じょんがら節


B2: 津軽あいや節
B3: 津軽よされ節


B4: 黒石よされ
B5: 鯵ヶ沢甚句
B6: 津軽音頭


日本民謡界の重鎮にして津軽三味線・高橋流家元、高橋祐次郎 による73年作。民謡の保存や継承にとどまらず「津軽三味線がどこまで行けるか」を真正面から問いにいった意欲作。本作は当時としては意欲的な国内クアドラフォニック盤として制作され、音の広がりそのものが作品の一部として設計されています。

冒頭A1「津軽の響き〜津軽じょんがら節による変奏曲〜」は、津軽山唄をモチーフにした尺八の導入から始まり、総勢15名による津軽三味線の分厚い合奏へとなだれ込む圧巻の構成。個の技を誇るのではなく、集団によるうねりで“津軽”そのものを立ち上げる感覚があります。音圧は強烈ですが、荒々しさ一辺倒ではなくアレンジの設計は非常に冷静です。B1「津軽じょんがら節」は、いわば名刺代わりの1曲。各演奏者の個性が最も分かりやすく浮かび上がる楽曲を、ストリングスとホーンを加えてブラスロック的に再構築しています。民謡とロックの接続は奇をてらったものではなく、リズムと推進力を共有する音楽として自然に成立しているのが印象的。B3「津軽よされ節」も同様に、伝統曲を“現在進行形の音楽”として鳴らそうとする意志がはっきり伝わってきます。

このアルバムの面白さは、民謡の過去を尊重しつつ現在の表現としてアップデートし、さらに未来へ開いている点にあります。技巧の誇示でも、懐古主義でもない。津軽三味線が持つリズムと音色の強度を信じ、そのまま拡張していく姿勢が一貫している。民謡ファンはもちろん、和楽器×実験、和製プログレ、ブラスロック文脈で聴いても十分に刺激的。津軽三味線の過去・現在・未来が絶妙なバランスで同居した、非常にスリリングな1枚です。日本盤。


Sleeve: スレ/クスミ
Media: 薄くスレ/ごく軽微なチリノイズ
Include: 帯(スレ/小さく折れ)
型番 SMS-08302
販売価格
2,200円(税込)
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